今回はSF70Hにスジボリを施していこうと思います。スジボリというと苦手意識をお持ちの方が多いのではないでしょうか。私も以前はスジボリが大嫌いでいつもパーツを傷だらけにして残念な思いをしていました。でもいくつかのコツを習得した今ではデカール貼りに次いで好きな作業かもしれません。
作品のクオリティーを高めるTips:スジボリ
この記事の目次
- スジボリの効果について
- よくあるスジボリの失敗例
- もう失敗しないスジボリのコツ
- 失敗した時のリカバー
1. スジボリの効果について
しっかりとした深いスジボリは作品の説得力を高めます。写真は以前製作した312T2のサイドのパネルダインです。しっかりと彫り込まれたスジボリでパーツの重なりを強調しています。カーモデルでは特にパネルラインや給油口などへしっかりとスジボリを施すだけで作品のクオリティーがとても向上します。
2. よくあるスジボリの失敗例
Ⅰ.直線ではみでてしまう。
Ⅱ.カーブで外側にははみでてしまう。
Ⅲ.角で止まれない。
3. もう失敗しない!スジボリのコツ
まずはどのようなシチュエーションでも言えるスジボリのコツから解説します。それは以下の2点です。
・力加減
まず気をつけることはいきなり深く彫ろうとしないことです。力加減で言えば本当にタガネの重さのみで引くくらいのイメージで少しずつゆっくりと何度も何度も彫り進めていきましょう。そうすることによって万が一はみ出てしまった時も傷が浅くてすみます。
・指の役割分担
刃を前に進めるアクセル役の指と、刃が進みすぎないようにするブレーキ役の指を同時に使うイメージで作業をしてみてください。特にはみ出ないようにするにはブレーキ役の指により強く意識を持つことがコツになります。
それでは先ほど挙げた、個別の失敗シチュエーションについて1つずつその原因と失敗しないコツについて解説していきたいと思います。
1.真っ直ぐの線をはみでないようにする。
真っ直ぐの線ではみ出てします原因はタガネの刃が進行方向に向いていないことが原因です。
タガネの刃の向きをモールドの進行方向へ正確に向けることで左右へのはみだしある程度を防ぐことができます。またこのような直線の場合はガイドテープを使うのも良いかと思います。
Ⅱ.カーブではみ出さないコツ
カーブではみ出る原因はタガネの進むベクトルがモールドに対して直角に当たっていることです。カーブ対して直角に当たっているとそもそもはみ出る方向に力が加わってしまうからです。
カーブを彫る時はモールドに対して刃の角度を若干内側へ向くように常に回転させることを意識してみてください。そうすることによって刃が外側へ飛ぶことを防ぐことができます。
Ⅲ.角から角へ彫る時は両側から
このような角と角の間にあるモールドを彫る際は始点から終点までを一気に掘ろうとはしないでください。タガネは止まることがとても苦手なのです。
上図のように両サイドの角を始点にして線分の中心で合流するようなイメージで作業をしましょう。
4.失敗のリカバー
最後に失敗のリカバーについて解説します。いくら「もう失敗しない!」と意気込んでもはみ出る時ははみでます(笑。私の場合は傷が浅ければ400番くらいの耐水ペーパーで傷を消してしまいます。深い傷の場合は瞬間接着剤と瞬着硬化剤に傷を埋めてもう一度彫り直します。瞬着でのリカバーは作業の中断時間が短いのでおすすめです。
筋彫りをきれいに掘れたら塗装後にスミを流しておきましょう。模型の説得力がよりアップします。上写真が筋彫りの完成イメージです。
いかがでしたでしょうか、スジボリに対してうまくいきそうなイメージは持っていただけたでしょうか。少しでもスジボリ作業のお役に立てれば幸いです。
ちなみに私がカーモデル製作に使っているタガネはこの1本だけです。少々高くてビビりますがこれ一本でカーモデルであれば1/24から1/12までそこそこカバーできると思います。